PostHeaderIcon 国際宇宙ステーション(ISS)の座標を取得するAPIを作ろう

とある事情で( http://tsujimotter.info/2013/01/01/hackathon-20121231/ )、

現在時刻におけるISSの座標(緯度・経度)を取得するAPIがほしくなったのです。

 

APIの用途ですが、「なんとなくこの辺にいるんだなあ」
と眺めれればいいので、精度はそこまで正確じゃなくていい。

 

JAXAとかNASAとか、なくても有志で誰か作っているだろう、と思ったのですが、これが、どこ探してもないのですね。
こんなの( http://www.lizard-tail.com/isana/tracking/ )はありますけど、Ajaxで座標データをとってきたりはできません。

 

実際こんなAPIがあればみんな使うんじゃないですかね。
宇宙に対する興味は専門家だけのものではないはずです!!

 

「ないなら作ってしまえばいいじゃない」
ということで、制作に向けて調べていたことをまとめます。

 

そもそも前提条件として、
1.私自身は衛星の専門家ではない。
2.ましてやJAXAとかそこら辺の関係者でも、宇宙クラスタでもない

知識がまるで足りない。宇宙兄弟で初めてISSの存在を知った程度。

 

調べている中思ったのは、宇宙関係の専門用語が多すぎてよくわからん。

 

というわけで、まず、状況を整理しましょう。

(専門家でない私が軽く調べた程度ですので、合っているかどうかは保証しかねます。)

 

・TLE (2行軌道要素形式)
初期値のようなもの、データ取得時点での軌道のパラメータをまとめたものです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/2%E8%A1%8C%E8%BB%8C%E9%81%93%E8%A6%81%E7%B4%A0%E5%BD%A2%E5%BC%8F

SpaceTrack.com や celestrak.com で取得できるそうです。
SpaceTrack.com の方が精度がよいそうなのですが、は残念ながら再配布禁止とのこと。。。ただし例外あり(参考: http://www.lizard-tail.com/isana/diary/?date=20110417

追記:
ISSに関してはNASAのページがPublic domainで公開しているそうです。
(データ取得先は、 http://spaceflight.nasa.gov/realdata/sightings/SSapplications/Post/JavaSSOP/orbit/ISS/SVPOST.html

(上記ページのパラメータ解説はここ http://spaceflight.nasa.gov/realdata/elements/index.html )

参考:
http://www.lizard-tail.com/isana/tle/?set=watch
spaceflight.nasa.govで提供されているデータはアメリカ合衆国著作権法によりPublic Domainとなっています。

 

・SGP4, SDP4
TLEを基に軌道情報を計算する手法
http://ja.wikipedia.org/wiki/SGP4
どちらの方式もOrbitToolsというC++のライブラリで計算可能です。
http://www.zeptomoby.com/satellites/

 

これらを使ってサンプルコードをGitHubに上げました。
https://github.com/junpeitsuji/OrbitToolsWebAPI (URL変更しました)

https://github.com/junpeitsuji/SateliteTracker

 

さあ、これを使ってWEBサービスを作ろうか、と思ったのですが、
計算しているうちにいろいろと発見があったので先にまとめてしまいます。

 

・勘違いその1: 衛星は常に同じ軌道を通る

衛星の軌道

SPG4で計算した衛星の軌道

このデータは、GitHubのコードを使って(OrbitTools C++)、
SGP4で計算したものです。横軸は緯度、縦軸は経度です。
計算に使ったTLEは下記のもので、TLE取得時刻から1440分の衛星軌道を1分おきにプロットしたものです。

ISS
1 25544U 98067A 13001.52012361 .00016717 00000-0 10270-3 0 9002
2 25544 51.6441 216.2888 0015668 109.9671 250.3170 15.51850049 8742

実際はこんな感じの軌跡となり、毎回違う経路を通るのです。

 

・勘違いその2: 一定の規則で通るから、その式がわかればずっと先まで計算できる

前半部分はあっています。
グラフからみておよそ法則性のある動きをしていますから、おそらくこのまま計算し続ければよいのでしょう、と思いました。
そこで、この先のデータまでこの式の通りに計算してみるとエラーが出てしまいました。

デバッグしてみるとライブラリの内部で時刻の積を計算しているときに停止しているようです。
これがこのライブラリのバグなのか、原理的なものなのかはわかりません。

たしかにWikipediaによるとSGP4方式は「周回周期が225分以上の衛星には向かない」とか制約があるそうなのです。
「まあそんなの正確さに目をつむれば大したことない」と思っていたのですが、計算できないのであれば事情は変わりますね。

ということで、TLEは定期的に更新する必要がありそうです。

 

APIの仕様としては、次のようなものでしょうか。

 

TLEを入力すると、現在時刻の緯度、経度を返す。

入力(リクエスト): 最新のTLEのURI
出力(レスポンス): 現在の衛星の座標(緯度・経度)

別途TLEを更新できる機能がほしい所です。

JSONのレスポンスのイメージはこんな感じです。
http://tsujimotter.info/webgl/json/orbit.json (URL変更しました)

http://tsujimotter.info/webgl/orbitjsonp.cgi (下記に変更しました)

 

肝心の作業ですが、gccが自由に動くlinuxサーバーを持っていないので、ちょっと手が止まっています。。。

お時間のあるハッカーさんがいましたら、
私のコードを使って勝手に作ってくださってもよろしくってよ。 笑

 

追記:

サーバー上でAPIが動くところまで作りました。

2013/1/4現在、下記URLで動かしています。

よろしければ使ってみてください。

http://tsujimotter.info/iss/orbitjsonp.cgi?callback=jsonp (下記に変更しました)

http://tsujimotter.info/api/SateliteTracker/orbitjsonp.cgi?callback=jsonp

 

(このページは予告なく変更することがあります。)

仕様はGitHubの README.txt に記載しています。

当然ですが、ソースコードをforkして使っていただいて構いません。むしろ修正して、よくしてくれたりしたら、泣いて喜びます。

https://github.com/junpeitsuji/SateliteTracker

 

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